ヨーロッパのサッカー界では、イギリスだけがワールドカップ出場に際して、特別な扱いを受けます。イギリスだけは、国内の地域別に代表チームをつくり、ひとつの国から4チームも代表を出すことが認められています。なぜ、イギリスだけそうなっているかというと、それはイギリスがサッカー発祥の地であり、伝統的に非常にサッカーが強かったからです。
現在は、南米の国も強豪となっていますが、ワールドカップを主催する国際サッカー連盟(FIFA)ができた当時は、イギリスが圧倒的な強豪国でした。その上、FIFAができる前に、すでにイギリスにはサッカー協会ができており、イングランドとスコットランド、ウェールズ、それに北アイルランドの協会が、それぞれ別々に活動していました。FIFAは、協会は1国にひとつというルールを定めますが、すでにイギリスには4つの協会ができていました。
圧倒的な強豪であったこともあり、FIFAはイギリスには、ワールドカップにおける1国4代表チームを認めました。オリンピックでは、それは認められません。4代表チームは、たとえオリンピック出場のためであっても、統一チームはつくりたくないようで、イギリスはオリンピックには、代表チームを送りません。
日本のJリーグは、サッカークラブが企業のサッカー部から独立して発足した場合が多いためクラブのトップは企業から出向している場合もあり、権限が強くありません。しかし、ヨーロッパの場合はオーナーの地位が非常に高く、サッカークラブを保有していることが最大のステータスになるほどです。
ヨーロッパのサッカークラブではオーナーの権限が非常に強く、選手の補強はもちろんし合いで採用する戦術やフォーメーションにも口を出すことがあります。そういった我の強い人物はサポーターやスタッフから疎んじられることもありますが、豊富な資金力を持っていて大量の資金をクラブに投入して強化を進めていることからクラブへの愛があることが理解されている場合もあるのです。
しかし、最近ではヨーロッパ経済が低調なことと、中東や中国の経済が好調なことが重なってヨーロッパのクラブを海外の大富豪が買収することが増えてきています。中東の大富豪はオイルマネーを背景に莫大な資金で選手をかき集め、中国の大富豪は母国で好調な経済にサッカーで便乗しようと有名な選手を集めて母国での人気を高めようとしています。昔ながらのクラブ愛があるオーナーは減っているのが実情なのです。